- 資格・研修
- 2026.11.3
教員のスキルアップに役立つ国際資格は?選び方と学校での評価
本ページでは以下のことがわかります。
教員がスキルアップに取れる国際資格は、教え方の基礎、英語の教え方、IB教育の分野ごとに選べます。どれも教員免許状ではないため、学びたい分野と英語力で選び、学校での扱いを確かめましょう。・教え方の基礎・英語の教え方・IB教育の分野別に見る国際資格の全体像
・AET・CELTA・CertTESOL・TKT・IBECを英語力と学習時間で比べた比較表
・公立学校での扱いと、IBECが教員採用選考で加点される自治体の例
・働きながら国際資格を取るときの時間と費用の目安と、取得までの流れ
・自分に合う国際資格が分かる、分野・英語力・時間のチェックリスト
教員がスキルアップに取れる国際資格は、学びたい分野で選ぶ

「国際資格」とひとまとめに呼ばれていても、学べる中身は資格ごとにまったく違います。先に結論を伝えると、教員のスキルアップに使える国際資格は、教え方の基礎、英語の教え方、IB教育という分野に分かれます。まずは全体像をつかみ、自分が伸ばしたい力に近い分野を探してみましょう。
教科を問わず教え方の基礎を学ぶなら、NOCN Level 3 AET

教科に関係なく、授業の組み立て方や評価の考え方を学び直したい先生に合うのが、NOCN Level 3 Award in Education and Training(AET)です。英国の資格授与機関NOCNが提供する教育・研修分野の資格で、Qualification Number(資格番号)は601/0619/0です。
学ぶのは、教える人の役割と責任、インクルーシブな教え方、個人やグループの学習の支援、評価の役割。特定の教科の指導法ではないので、理科や社会、探究の担当でも、自分の授業に引きつけて学べます。
英語の教え方を学ぶなら、CELTA、CertTESOL、TKT

英語の先生が指導法を深めたいなら、英語教授法の資格が候補になります。TESOLは、英語を母語としない人に英語を教える指導法の総称で、講座の内容や時間は提供機関によってさまざまです。
講座と教育実習がセットになった資格が、Cambridge EnglishのCELTAと、Trinity College LondonのCertTESOLでしょう。一方のTKTはCambridge Englishの試験で、授業の計画など教え方の知識をモジュールごとに問います。実習で教え方を変えたいのか、知識を証明したいのかによって、選ぶべきものが変わります。
IB教育を学ぶなら、IBのワークショップとIBEC

国際バカロレア(IB)の授業に関わるなら、IB機構の教員研修であるワークショップが入り口です。文部科学省のIB教育推進コンソーシアムによると、ワークショップはレベル別に3つのカテゴリーがあり、オンラインや対面で開かれます。担当教科のカテゴリー1を修了すれば、IB教員の資格を得られるのです。
さらに深く学ぶなら、IBEC(IB educator certificates)があります。IB機構が認定した大学の課程で取得する教員資格で、国内の受講先は2026年6月時点で9大学です。研修の種類や費用は、関連記事も読んでみてください。
▶︎関連記事:国際バカロレア(IB)教員になるには?研修の種類・費用・期間はこちら
資格ではないが、教員向けの海外研修で国際理解教育を学ぶ方法もある

スキルアップの方法は、資格だけに限りません。国際協力機構(JICA)は、国際理解教育や開発教育の実践者、関心のある先生を対象に、さまざまな教員向けの研修を行っています。研修の種類によって対象者や目的が違うため、参加を考えるなら募集案内で条件を確かめてください。
海外の現場で見聞きしたことは、国際理解教育の授業の具体的な題材になるはずです。とはいえ、研修に参加しても資格は付きません。現場で視野を広げる研修と、評価を受けて教え方を証明する資格は役割が違うので、両方を組み合わせて考えるとよいでしょう。
どの国際資格も、日本の教員免許状とは別の資格

国際資格を選ぶ前に、押さえておきたい前提があります。ここで紹介した資格はどれも、日本の教員免許状ではありません。文部科学省の「教員免許状に関するQ&A」でも、教員免許状がなければ日本の学校で教壇に立って授業をすることはできないと説明されています。
つまり国際資格は、免許状の代わりにも、免許の種類を増やす手段にもなりません。すでに免許状を持って働く先生が、教え方の専門性を上乗せするための学びです。そう位置づけておくと、資格に期待しすぎて後悔することを防げます。GTSで目指せるNOCNの資格の位置づけは、資格紹介のページで確認できます。
あなたに合う国際資格が分かる診断チェックリスト

どの国際資格が合うかは、いくつかの問いに答えると絞り込めます。学びたい分野、自分の英語力、使える時間、勤務先や志望先で求められるもの、の順に確かめていきましょう。答えに迷う問いがあれば、そこが資格選びで一番時間をかけて調べるべき点です。
学びたいのは、教え方の基礎か、英語の教え方か、IB教育か?

最初に決めたいのは、どの分野の力を伸ばしたいかです。英語以外の教科の先生や、探究や総合的な学習を担当する先生なら、教科を問わず教え方の基礎を学べるNOCN Level 3 AETが候補になります。授業の組み立て方や評価の考え方を学び直したい人にも合うでしょう。
英語の授業そのものを変えたいなら、CELTA・CertTESOL・TKTといった英語教授法の資格が近い選択肢です。勤務校がIBの導入を検討している、あるいはIB校で教えたいなら、IBのワークショップやIBECを調べてください。分野が決まれば、比べる資格は一気に絞れます。
英語力は、CEFR B1程度か、C1以上か?

国際資格の多くは英語で学ぶため、自分の英語力を知っておく必要があります。目安になるのがCEFR(セファール)です。外国語の力をA1からC2までの6段階で示す国際的な基準で、資格の受講条件もこの段階で示されることが少なくありません。
たとえばTKTはB1以上の英語力の先生が対象ですが、CELTAは入学の条件としてC1の上位以上を求めています。CertTESOLも、英語を母語としない人には通常C1が目安です。B1程度なら、まずTKTや英語力の基準がそれほど高くない講座から始め、C1が見えてきたら講座型の資格に進む流れが現実的でしょう。
平日の夜と週末だけで学びたいか?

部活動や校務を抱えたまま学ぶなら、形式の確認は欠かせません。CELTAには全日制で通常4〜5週間かけて学ぶ形と、パートタイムで数か月から1年かけて学ぶ形があります。CertTESOLも全日制・パートタイム・オンラインなどから選べ、IBのワークショップにもオンラインの回があります。
平日の夜と週末だけで進めたいなら、オンラインやパートタイムの講座を選ぶのが基本です。全日制の講座は長期休みに合わせる方法もありますが、日程が合わなければ続きません。録画で復習できるか、課題の締め切りはどのくらいの間隔かも、あわせて確かめておくと安心できます。
勤務先や志望先で求められる資格はあるか?

資格選びでは、自分の興味だけでなく、勤務先や志望先で何が求められるかも見ておきたいところです。IB校は、教員にIB機構の研修を受けることを求めています。勤務校がIBの認定を目指しているなら、まずワークショップを受ける流れになるでしょう。
インターナショナルスクールや語学学校への転職を考えているなら、求人の募集要項で資格の欄を確かめるのが近道です。いまの学校で授業を良くしたいだけなら、求められる資格に縛られる必要はありません。職場ごとに求められる資格の違いは、関連記事で比べています。
▶︎関連記事:英語を教える資格は何が必要?学校・英会話スクール・塾別の比較はこちら
教員向けの国際資格を、同じ基準で比べる

候補が絞れたら、同じ基準で並べて比べてみましょう。ここでは、学べる内容、必要な英語力と受講の条件、学習時間と受講の形式の3つの観点で整理します。比較表で全体を見てから、気になる観点の説明を読むと、自分に合う資格がはっきりしてきます。
主な国際資格の比較表

| 資格・研修 | 分野 | 英語力の目安 | 学習時間・形式 | 評価のしかた |
| NOCN Level 3 AET | 教え方の基礎(教科を問わない) | 提供機関の基準による | 総学習時間(TQT)120時間 | レポートや模擬授業などの課題 |
| CELTA | 英語の教え方 | CEFR C1の上位以上 | 120時間以上。全日制で通常4〜5週間、パートタイムで数か月〜1年 | 教育実習6時間と4つの課題 |
| CertTESOL | 英語の教え方 | 通常CEFR C1 | TQT 200時間(指導を受ける学習130時間以上)。全日制・パートタイム・オンラインなど | 6時間以上の教育実習を含む |
| TKT | 英語の教え方の知識 | CEFR B1以上 | モジュールごとに80分の試験 | 多肢選択式の試験 |
| IBのワークショップ | IB教育 | 研修による | オンライン・対面など | 研修参加認定証 |
| IBEC | IB教育 | 大学の入学条件による | 大学の学部・大学院の課程 | 大学の課程の修了 |
表を見ると、同じ「国際資格」でも分野も重さも大きく違うことが分かります。数週間から1年ほどで取れる講座型の資格がある一方で、IBECは大学の課程を修了して取る資格です。TKTのように試験だけで知識を示せるものもあります。時間の短さだけで選ばず、何を身につけたいかと照らし合わせて見てください。
評価のしかたにも違いがあります。実習や課題で教え方そのものを見られる資格と、試験で知識を問う資格では、身につく力も、学んだことの示し方も変わってくるのです。それぞれの観点を、次の項目で詳しく見ていきましょう。
学べる内容と、授業への活かしやすさで比べる

授業にどう生きるかで比べると、違いがはっきりします。NOCN Level 3 AETは、教える人の役割や評価、学習者一人ひとりに合わせた教え方を扱うため、教科を問わずすぐに授業の見直しに使える内容です。
CELTAとCertTESOLは英語の授業に特化しています。実際の学習者を相手にした教育実習があり、授業の計画から実施までを指導者に見てもらえるため、英語の授業の進め方を具体的に変えたい先生に向くでしょう。TKTは実習がないぶん、教え方の知識を整理する場として使えます。IBの学びは、探究型の授業づくりに直結するのが強みです。
必要な英語力と、受講の条件で比べる

英語力の条件は、資格によって大きく違います。もっとも高いのはCELTAで、入学の最低条件はCEFR C1の上位以上です。CertTESOLも、英語を母語としない人には通常C1を求めています。どちらも18歳から受けられますが、CertTESOLは提供機関によって20歳や21歳以上の場合もあります。
TKTはB1以上の英語力の先生が対象で、ハードルは低めです。NOCN Level 3 AETは受講できる年齢が19歳以上で、英語力の目安は講座を開く機関ごとに決まります。IBECは大学の課程なので、入学条件は大学によって違うと考えてください。
学習時間と、受講の形式で比べる

学習時間を比べるときは、TQT(Total Qualification Time)という目安が役立ちます。授業時間だけでなく、自習や課題、評価に使う時間も含めた総学習時間のことです。NOCN Level 3 AETはTQT 120時間、CertTESOLはTQT 200時間で、そのうち130時間以上は指導を受けて学びます。
CELTAは120時間以上の講座で、全日制なら通常4〜5週間、パートタイムなら数か月から1年かかります。TKTはモジュールごとに80分の試験を受ける形式なので、まとまった講座の時間は要りません。
教科を問わず教え方を学びたい人は、NOCN Level 3 AETが向いている

英語の先生に限らず、どの教科の先生にも使いやすいのがNOCN Level 3 AETです。学べる内容、英語の条件、学習時間、向く人と向かない人の順に、比較の観点をそろえて見ていきます。教え方の基礎を国際的な枠組みで学び直したい人は、ここから読み進めてください。
学べる内容は、教える人の役割、インクルーシブな教え方、評価

NOCN Level 3 AETは、12 Credits(単位)を取って修了する資格です。必修は、教育・研修における役割と責任、関係を扱う単元。そのうえで、個人やグループの学習の支援、インクルーシブな教え方のいずれかと、評価に関する単元を選んで学ぶ仕組みになっています。
インクルーシブな教え方とは、学び方や背景が違うすべての学習者が参加できるよう授業を工夫する考え方です。評価の単元では、評価を授業の中でどう使うかを学べます。GTSのコースではこれを英語で学び、インクルーシブな教え方の単元では1時間のマイクロティーチングにも取り組みます。
英語の条件は、受講する講座ごとに確かめる

NOCNの資格概要に示されているのは、Level 3、TQT 120時間、Minimum Age(最低年齢)19歳といった情報です。英語力の目安は、講座を開く機関がそれぞれ決めています。そのため、受講先を選ぶときは英語の条件を個別に確かめる必要があるのです。
英語で学ぶ講座では、CEFR B1以上(英検2級程度)を目安にしているところもあります。レポートや模擬授業も英語で行うなら、読む・書く・話す力が一通り求められるでしょう。英語力に不安があるなら、準備のための英語コースを用意している受講先を選ぶと、段階を追って進められます。
学習時間は、TQT 120時間が目安

NOCN Level 3 AETのTQTは120時間です。授業だけでなく、自習や課題、評価の時間も含んだ数字なので、講座の時間がそのまま120時間あるわけではありません。
働きながら学ぶ場合は、1週間に使える時間から逆算してみてください。たとえば週に7〜8時間を確保できれば、16週、つまり4か月ほどで120時間に届く計算です。週5時間なら半年ほど見込んでおくと、無理なく進められます。GTSでは、一般的な学習時間の目安を週5〜10時間程度と案内しています。課題の提出が学期末や行事と重ならないよう、始める時期を決めるのがコツです。
NOCN Level 3 AETが向く人と向かない人

教え方の基礎を体系的に学び直したい先生には、NOCN Level 3 AETが向いています。英語以外の教科の先生、探究や校内研修を担当する先生、学校以外で研修講師をする人にも使いやすい資格です。英語で学ぶ講座なら、英語力をあわせて伸ばせる点も魅力でしょう。
一方で、英語の指導法そのものを専門に深めたい先生には、実習の多いCELTAやCertTESOLのほうが近道です。IB校で教えるための研修の要件を満たしたい場合も、IBのワークショップを受ける必要があります。何を目的にするかで、合う資格は変わるのです。
英語の教え方やIB教育を深めたい人は、専門分野の国際資格が向いている

英語の授業やIB教育など、特定の分野を深めたいなら、専門分野の国際資格が候補になります。CELTA・CertTESOL・TKTとIBのワークショップ・IBECを、前の章と同じ観点で見ていきます。自分の専門と英語力に合うかどうかを確かめながら読んでみてください。
学べる内容は、英語の指導法やIBの授業づくり

英語教授法の資格では、英語の授業の計画と実施を中心に学びます。たとえばCertTESOLには、文法や発音などの言語の知識を扱う単元や、自分にとって未知の言語を学んで学習者の立場を体験する単元があります。実際の学習者を相手に6時間以上の教育実習を行うのも特徴です。
IBの学びは、IBの理念と探究型の授業づくりが中心になります。ワークショップには、担当教科ごとの研修のほか、課題論文(EE)や知の理論(TOK)、創造性・活動・奉仕(CAS)といったIBの必修要素の研修も用意されています。教科の枠をこえた授業を考えるヒントが得られるでしょう。
英語の条件は、CELTAとCertTESOLでCEFR C1程度が目安

英語教授法の講座型の資格は、英語力の条件が高めです。CELTAは入学の最低条件をCEFR C1の上位以上とし、CertTESOLも英語を母語としない人には通常C1を求めます。講座では英語で授業を行い、英語で課題を書くため、この水準が必要になるのでしょう。
英語の先生でも、いきなりC1は遠いと感じるかもしれません。その場合は、B1以上が対象のTKTで教え方の知識を整理し、並行して英語力を伸ばしてから講座型の資格を目指す方法があります。IBのワークショップやIBECの英語の条件は、研修や大学によって違うので個別に確かめてください。
学習時間は、数週間の講座から大学の課程まで幅がある

専門分野の資格は、かかる時間の幅がとても広いのが特徴です。TKTはモジュールごとの試験なので、講座を受けずに挑戦することもできます。CELTAは全日制で通常4〜5週間、パートタイムなら数か月から1年。CertTESOLはTQT 200時間で、全日制・パートタイム・オンラインなどから形式を選べます。
いちばん時間がかかるのはIBECでしょう。IB機構が認定した大学の学部や大学院の課程で学ぶ必要があり、入学条件や費用も大学ごとに決められています。国内の受講先には、対面のほかオンラインやハイブリッドで学べる大学院の課程もあります。
専門分野の国際資格が向く人と向かない人

英語の授業を国際的な指導法で変えたい先生や、CEFR C1程度の英語力がすでにある先生には、CELTAやCertTESOLが向いています。IB校や、IBの導入を予定している学校で教える先生なら、ワークショップは避けて通れない学びになるはずです。
反対に、英語力がB1程度のまま講座型の資格に申し込むと、授業や課題についていけなくなるおそれがあります。IBに関わる予定がないのに、大学の課程が必要なIBECを目指すのも負担が大きいでしょう。目的と英語力が条件に合っているか、申し込む前に確かめてください。
国際資格は、日本の学校でどう評価されるか?

時間とお金をかけて取る以上、国際資格が日本の学校でどう扱われるのかは気になるところです。結論から言えば、評価のされ方は学校の種類や資格によって大きく違います。公立学校、教員採用選考、インターナショナルスクールや私立校に分けて、公的な資料をもとに整理します。
公立学校では、国際資格を取っても教員免許状が増えるわけではない

公立学校で働く先生がまず知っておきたいのは、国際資格を取っても教員免許状の種類は増えないという点です。日本の学校で授業をするには、学校の種類や教科に応じた教員免許状が必要になります。国際資格は、この制度の外にある資格です。
また、資格を取ったことだけで人事評価が上がる仕組みもありません。文部科学省のガイドラインでも、研修の量の多さそのものは人事評価に直接反映されないとされています。国際資格の価値は、資格の名前よりも、学んだことで授業がどう変わったかに表れると考えたほうがよいでしょう。
学んだことは、研修の記録として校内の対話に活かせる

公立学校では、2023年4月から研修の履歴を記録し、それをもとに校長などと対話する仕組みが始まっています。文部科学省の「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン」によると、教師が自主的に参加する研修も、任命権者が必要と認めるものは記録の対象になり得ます。
国際資格の講座で学んだことも、記録に残して対話の材料にできるかどうか、勤務先で確かめてみる価値はあるでしょう。学んだ評価の方法を校内研修で紹介すれば、同僚の授業づくりにも生きます。研修の記録の残し方や共有のコツは、関連記事でも紹介しています。
▶︎関連記事:教員がオンラインでスキルアップする方法と研修の活かし方はこちら
一部の自治体では、IBECが教員採用選考で加点される

教員採用選考で国際資格が評価される例として、はっきり示されているのがIBECです。文部科学省のIB教育推進コンソーシアムがまとめた資料では、札幌市・山梨県・愛知県・滋賀県・奈良県・高知県の教育委員会が、IBECを持つ人に加点や一次試験の免除などの優遇を設けている例が紹介されています。
背景にあるのは、IBの指導経験者や資格を持つ教員の不足です。ただし、優遇の中身や対象は自治体ごとに違い、年度によって変わることもあります。IBEC以外の国際資格に同じ扱いがあるとは限らないため、受験する自治体の最新の実施要項で確かめてください。
インターナショナルスクールや私立校では、応募先によって評価が違う

インターナショナルスクールや私立校では、国際資格の扱いは学校ごとに違います。IB校の場合、まず求められるのはIB機構の研修の受講です。IB機構によれば、IBECの課程に登録すると、そのプログラムのカテゴリー1のワークショップの要件を満たせます。
英語教授法の資格については、Trinity College LondonがCertTESOLを多くの国際的な教育機関が受け入れている資格だと説明しています。とはいえ、採用の条件を決めるのは応募先の学校です。募集要項を読み、求められる資格と自分の目的が合っているかを確かめましょう。
迷ったときの最終判断と、働きながら取るための流れ

ここまでで、候補の資格はかなり絞れたはずです。最後に、働きながら取るときの時間と費用の見通し、取得までの流れ、失敗しないための考え方を整理します。迷ったときに誰に何を相談すればよいかも、あわせて確かめておきましょう。
働きながら取るときの、時間と費用の目安

働きながら取るなら、時間は「総学習時間÷1週間に使える時間」で見積もるのが基本です。TQT 120時間のNOCN Level 3 AETなら、週7〜8時間で4か月ほど。パートタイムのCELTAなら数か月から1年を見込みます。
費用は、講座を開く機関や大学によって異なるのが実情です。IBECについても、IB機構は入学条件や費用を各大学が決めると説明しています。比べるときは講座料だけでなく、入学金や検定料、受験料、教材費まで含めた総額で見てください。対面のワークショップなら、会場までの交通費や宿泊費も参加者の負担です。
国際資格を取るまでの流れ

国際資格を取るまでの流れは、どの資格でもおおむね共通しています。最初に学びたい分野を決め、次に自分の英語力をCEFRで確かめます。そのうえで、講座の形式や時間、費用を比べて受講先を選ぶ流れです。
講座が始まったら、授業を受けながら課題や教育実習に取り組みます。最終試験1回で決まる資格ばかりではなく、課題や実習の評価を積み重ねて取る資格も多いため、毎週の学習時間を確保できるかが合否を分けるでしょう。資格を取った後は、学んだことを授業で試し、振り返りを続けることでスキルとして定着していきます。
資格を取ること自体を目的にせず、授業で使う場面から選ぶ

資格選びでよくある失敗が、名前の知られた資格を取ることが目的になってしまうケースです。取ったあとにどの授業でどう使うのかが決まっていないと、忙しさの中で学びが続かず、授業も変わらないまま終わりかねません。
選ぶときは、学んだことを使う場面から逆算してください。来年度の探究の授業で評価の基準を作りたいなら教え方と評価を学ぶ資格、英語で進める授業を増やしたいなら英語教授法の資格、というように選べます。使う場面がはっきりしていれば、忙しい時期でも学ぶ意欲を保ちやすいはずです。
迷ったら、英語力と目的を整理してから専門家に相談する

候補が2つに絞れても決めきれないときは、ひとりで悩み続けるより、講座を開く機関に相談したほうが早く答えが出ます。相談の前に、学びたい分野と使いたい授業の場面、自分の英語力、1週間に使える時間と予算をメモしておくと、話がかみ合いやすくなるでしょう。
英語力に自信がない場合は、まず判定テストや英語の試験で、自分のCEFRの段階を確かめてください。そのうえで説明会や個別相談に参加すれば、授業の形式や課題の量、英語力が足りない場合の進め方まで具体的に聞けるので、自分に合う資格を判断しやすくなります。
Global Teachers Schoolで、国際資格を目指す学習ルート

完全オンラインでイギリスの教育者資格の取得を目指せるGlobal Teachers School(GTS)は、教員や塾講師、企業の研修担当者など、人に教える立場の19歳以上を対象にしたスクールです。教科を問わず教え方の基礎を学べるNOCN Level 3 AETを、英語力に合わせて目指せるルートを紹介します。
英語で教育理論と教え方を学ぶNOCN Level 3 AETを、最短4ヶ月で目指す

GTSの教育スキル専門能力開発コースでは、NOCN Level 3 AETの取得を、オンラインで最短4ヶ月で目指せます。AETは教育・研修分野の英国の資格で、日本の教員免許状ではありません。英国からのライブ授業は2週間に1回、平日の夜に行われ、すべて録画されます。
評価はレポートと、1時間のマイクロティーチング(短い模擬授業)で行われ、課題ごとにフィードバックを受けられます。費用は2026年10月時点で、授業料277,890円(一括払いは264,000円)、入学金121,000円、アセスメントテストの検定料11,000円です。
英語力に不安があれば、英語力育成コースから始められる

AETのコースは、CEFR B1以上(英検2級程度)の英語力が目安です。入学前のアセスメントテストで英語力を判定し、届いていなければ英語力育成コースから始められます。英語の外部試験の結果がなくても受講を検討できるのは、心強い点でしょう。
英語力育成コースには、英語の初級者向けのスタートアップEnglishや、A1からC1までのレベル別クラスで学ぶCEFRコースなどがあります。授業と課題がすべて英語のAETに進む前に、必要な英語力を段階を追って身につけられる仕組みです。
まずは無料の個別相談か学校説明会で、自分に合う資格を確かめる
自分に合うのがAETなのか、ほかの国際資格なのか、まだ決めきれない人もいるはずです。GTSの無料個別相談(オンライン・60分)なら、学びたい分野や英語力、仕事の予定をもとに、1対1で学び方を考えられます。
全体像を先に知りたい人には、オンライン学校説明会がおすすめ。資格の概要やカリキュラム、英語力診断の流れ、学費を紹介し、参加特典としてキャリアプランコンサルティングを1回無料で受けられます。
教員として働きながら教育スキル専門能力開発コースを受講し、学んだ指導技術をすぐ授業に取り入れたY.K.様(37歳)の声も参考にしてください。
【まとめ】 教員の国際資格は、学びたい分野と英語力で選び、日本の学校での扱いを確かめてから取る

教員がスキルアップに取れる国際資格は、教え方の基礎を学ぶNOCN Level 3 AET、英語の教え方を学ぶCELTA・CertTESOL・TKT、IB教育を学ぶIBのワークショップとIBECの3つの分野に分かれます。どれも日本の教員免許状ではなく、免許状を持つ先生が専門性を上乗せするための学びです。
選ぶときは、学びたい分野、英語力(CEFR)、使える時間、勤務先や志望先で求められるものを確かめてください。公立学校では資格だけで評価が上がるわけではありませんが、学んだことは研修の記録や授業の改善に生かせます。IBECのように採用選考で優遇される例もあります。迷ったら、英語力と目的を整理して、説明会や個別相談で具体的に確かめるところから始めましょう。
よくある質問
教員がスキルアップに取れる国際資格には、何がありますか?
学びたい分野によって3つに分かれます。教科を問わず教え方の基礎を学ぶならNOCN Level 3 AET、英語の教え方ならCELTA・CertTESOL・TKT、IB教育ならIBのワークショップとIBECが代表的です。英語の条件や学習時間は資格ごとに大きく違うので、比較表で確かめてから選んでください。
詳しくは「主な国際資格の比較表」をご覧ください。
働きながら国際資格を取るには、どれくらいの期間と費用がかかりますか?
期間は資格によって違い、TQT 120時間のNOCN Level 3 AETなら週7〜8時間で4か月ほど、パートタイムのCELTAなら数か月から1年が目安です。費用は講座を開く機関や大学ごとに違うため、講座料だけでなく入学金や受験料、教材費まで含めた総額で比べてください。
詳しくは「働きながら取るときの、時間と費用の目安」をご覧ください。
国際資格を取ると、日本の学校での給与や評価は変わりますか?
公立学校では、国際資格を取っただけで教員免許状が増えたり、人事評価が上がったりする仕組みはありません。ただし、学んだことを研修の記録として校長などとの対話に生かせる場合があります。採用選考では、IBECを持つ人に加点などの優遇を設けている自治体もあるので、最新の実施要項で確かめてください。
詳しくは「国際資格は、日本の学校でどう評価されるか?」をご覧ください。
英語が苦手でも、国際資格は取れますか?
英語力に合わせて選べば目指せます。TKTはCEFR B1以上の先生が対象で、NOCN Level 3 AETの英語の条件は講座を開く機関ごとに決まります。CELTAやCertTESOLはC1程度が必要なので、英語力が足りないうちは英語の学習や準備のコースから始め、段階を追って進むのが現実的です。
詳しくは「英語力は、CEFR B1程度か、C1以上か?」をご覧ください。
IB教員の資格を取るメリットは何ですか?
IBの理念に沿った探究型の授業づくりを体系的に学べることが一番のメリットです。IB校で教えるための研修の要件を満たせるほか、IBECを持つ人に教員採用選考で加点などの優遇を設けている自治体もあります。IBに関わる予定があるなら、まずワークショップから検討するとよいでしょう。
詳しくは「IB教育を学ぶなら、IBのワークショップとIBEC」をご覧ください。
国際資格を取れば、インターナショナルスクールで働けますか?
資格を取っただけで働けるとは限りません。採用の条件を決めるのは応募先の学校で、IB校ならIB機構の研修の受講が求められ、そのほかの学校でも求める資格や英語力はさまざまです。気になる学校の募集要項を読み、求められる資格と自分の目的が合っているかを確かめてから選んでください。
詳しくは「インターナショナルスクールや私立校では、応募先によって評価が違う」をご覧ください。
出典
この記事で紹介した資格・研修・制度の情報は、次の資料に基づいています。
- NOCN「NOCN Level 3 Award in Education and Training」(Qualification Number 601/0619/0)
- Cambridge English「CELTA」
- Cambridge English「About CELTA」
- Cambridge English「TKT (Teaching Knowledge Test)」
- Trinity College London「Certificate in Teaching English to Speakers of Other Languages (CertTESOL)」
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IB教員研修・IB教員認定資格」
- International Baccalaureate「IB educator certificates (IBEC)」
- 独立行政法人国際協力機構(JICA)「教員向け研修」
- 文部科学省「教員免許状に関するQ&A」
- 文部科学省「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン」(令和4年8月、令和5年3月一部修正)
| この記事で示した内容 | 該当ページ |
| NOCN Level 3 AETは Level 3、TQT 120時間、12 Credits、Minimum Age 19。教育・研修の仕事への導入として設計され、役割・責任・関係、インクルーシブな教え方、学習の支援、評価を扱う | NOCN「Level 3 Award in Education and Training」(Qualification Overview・Qualification Structure) |
| CELTAは120時間以上の講座。全日制なら通常4〜5週間、パートタイムなら数か月〜1年 | Cambridge English「CELTA」 |
| CELTAの入学の最低条件はCEFR C1の上位以上、年齢は18歳から。教育実習6時間と750〜1,000語の課題4本 | Cambridge English「About CELTA」 |
| TKTはB1以上の英語力の教師が対象のモジュール制の試験。各モジュール80分の多肢選択式 | Cambridge English「TKT」 |
| CertTESOLはOfqualの資格枠組み(RQF)でLevel 5、TQT 200時間、指導を受ける学習130時間以上、教育実習6時間以上。全日制・パートタイム・オンライン・ブレンド。最低年齢18歳(提供機関によって20歳・21歳)、英語を母語としない人は通常CEFR C1。多くの国際的な教育機関が受け入れている資格と説明 | Trinity College London「CertTESOL」 |
| IBのワークショップは3つのカテゴリー、オンライン・対面などの形式。担当教科のカテゴリー1を修了するとIB教員の資格。EE・TOK・CASのワークショップもある。対面の会場までの交通費・宿泊費は参加者負担 | IB教育推進コンソーシアム「IB教員研修・IB教員認定資格」 |
| IBECはIB機構が認定する教員資格で、2026年6月時点で国内9大学が受講先。玉川大学の大学院の課程は対面・オンライン・ハイブリッド | IB教育推進コンソーシアム「IB教員研修・IB教員認定資格」、掲載資料「国際バカロレア(IB)教員資格を取得可能な大学」 |
| 札幌市・山梨県・愛知県・滋賀県・奈良県・高知県の教育委員会で、IBEC保有者への加点や一次試験の免除などの優遇の例(令和9年度実施要項)。背景はIB指導経験者・IB教員資格を持つ教員の不足 | IB教育推進コンソーシアム 掲載資料「教員採用における国際バカロレア教員資格(IBEC)保有者の優遇事例」p.1〜2 |
| IBECはIB機構が認定した大学の課程で取得。入学条件と費用は各大学が決める。IBECに登録すると、専門とするプログラムのカテゴリー1のワークショップの要件を満たす | IB「IB educator certificates (IBEC)」 |
| JICAは国際理解教育・開発教育の実践者や関心のある先生を対象に研修を実施。研修の種類によって対象者や目的が異なる | JICA「教員向け研修」 |
| 教員免許状がなければ日本の学校で教壇に立ち授業を行うことはできない | 教員免許状に関するQ&A 1-1 |
| 研修履歴の記録と対話に基づく受講奨励は令和5年4月1日施行。教師が自主的に参加する研修等も任命権者が必要と認めるものに含まれ得る。研修量の多寡そのものは人事評価に直接反映されない | 受講奨励に関するガイドライン PDF 3・12〜13・17ページ |